1956年、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督作品。カラー。
スカパー録画で視聴。(インフルもだいぶよくなったし、つい…)

ちょっと外堀から話を始めます。
亡くなった父は鉄道マニアだったのに加えて、戦艦や戦闘機の模型もたくさん作っていた趣味人(オタクとは呼ばずにおこう)。映画鑑賞はもっぱら邦画だったようだが、この「戦艦シュペー号の最後」と「超音ジェット機」の二タイトルは、父が口にしたことのある数少ない洋画タイトル。詳細は覚えていないが何となくずっと耳に残っており、スカパーでやってたので録画。パウエル&プレスバーガー作品だったのね…(ちなみに「超音ジェット機」はデヴィッド・リーン。両方ともイギリス映画ですな)

さて、シュペー号とは"ポケット戦艦"の異名をとるドイツの小型戦艦。第一次大戦後の軍縮条約により、もっと大きいフネはドイツは作れなかったんですね(日本も同じ)。当然米英などの"本当の"戦艦には力及ばないので、商船を相手どり、通商破壊活動を行っていた。が、南米ラプラタ河口沖でハーウッド代将(アンソニー・クェイル)率いる英国艦隊(巡洋艦3隻)に捕捉され、激しい戦闘の後、中立国ウルグアイのモンテビデオ港に逃げ込んで…

戦闘シーンは迫力十分だし(大破しつつシュペー号に迫る英国艦エクセターの描写とか)、後半はモンテビデオでの英独仏外交的駆け引きが描かれて興味深いし、シュペー号のラングスドルフ艦長(ピーター・フィンチ)を公正な人物として描いているため、後味が良い。最終的にこの艦長がどうなったかは映画内では触れられていないのだが、それは、当時は誰でも知ってる常識ということになっていたからなのだろうか。言わぬが花ということなのだろうか。
捕虜としてしばらくシュペー号内で暮らしたダヴ船長(バーナード・リー)とラングスドルフ艦長との最後の会話なども、昏い余韻の残るいい場面だった。
南米の強烈な色彩と夕景の美しさも印象深い。

そして戦争映画であってもちょっとしたユーモアのにじむ描写をそこここにちりばめているあたりがいかにも英国的でよろしい。英国艦3隻のブリッジ風景も、艦長のキャラクターによるのか微妙に雰囲気が違う。エクセターのベル艦長(ジョン・グレッグソン)が粋な感じでそのくせ戦闘中は熱血で好みだった。何時間も戦闘を続けているうち、望遠鏡を握りしめて艦橋に立ち続ける艦長のすぐ前の舷側にいつのまにかサンドイッチが1個ポンとじかに載っていたり、細かい。あー英国海軍な感じだなーとニヤリ。

私は本来戦争映画にはあまり興味はない方だが、楽しめました。
やっぱり、面白かった…と言ってたんですよね、父上。

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