暗黒の恐怖

2014年12月26日 映画
1950年、エリア・カザン監督作品。モノクロ。
ウィドマーク様のお誕生日でもあり、スカパーでやってたコレを久々に再見。
いかにも50年代前半らしい、ノワールの香りの濃い、夜の裏町の情景描写がなかなかオイシイが、主人公(リチャード・ウィドマーク)はギャングや殺し屋ではなく、ニューオーリンズの環境局に勤める医師クリント。
殺された密入国者の死体からペスト菌が検出された。疫病の脅威を前に、医師は警察と連携し、死者の立ち回った場所や接触した人々について調査を始める。一方犯人(ジャック・パランス)は、通常よりよほど厳しい捜査網が敷かれたのを見て、逃げるどころか「死んだ男が何か“でかいネタ”を持っていたのでは?」と、弟分(ゼロ・モステル)とともに周辺を嗅ぎ回り始め…

焦る医師と一見腰の重い刑事(ポール・ダグラス)が、衝突しつつ次第に相手を認めあってゆく過程、カリカリしている心(献身的なワーホリ医師だが、安月給への劣等感や八つ当たりや自己批判や反省やら、もやもやしてる…)を、ちょっと仮眠を取りに戻った家で妻(バーバラ・デル・ゲデス)にときほぐしてもらうシーンなど、ウィドマーク様は持ち前の丁寧な表現力で味わい深く見せてくれる。ダグラス、デル・ゲデスらワキも皆存在感たっぷり。もちろん強烈な悪役演技でデビューした大男パランスも印象的。小味だが、テンポよくシャープにまとまった佳品という感じ。
しかしほんとにイイ奥さんであるなあ。

ウィドマーク様は、医師だがまるで軍服のような趣の制服制帽姿でキリッとしている。ただし帽子がこころもち大きすぎる気がするのは、もしかしたら、「怖い役じゃないよ~」という暗黙の主張なのかも?(笑)
デビューからまだ数年、悪役がほとんどだった頃の作だから…

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