1945年、ジョン・ブラーム監督作品。モノクロ。
米盤DVD三枚組ボックス「Fox Horror Classics Collection」収録分で視聴(英語字幕あり)。
ロンドン、1903年。将来を期待されるクラシックの作曲家ジョージ(レアード・クリーガー)は、激しい不協和音を聞くと時々記憶に空白ができ、我にかえると頭痛とともにぼうっと彷徨い歩いている自分に気がつく…ということが増えてきた。ある晩血痕をつけて帰宅した彼は、知らずに犯罪を犯したりしていないかと心配になり、スコットランド・ヤード所属の著名な精神科医ミドルトン(ジョージ・サンダース)に相談に行く。上着の血痕は自分自身のものだけで、ミドルトンは「過度の仕事(作曲)への熱中が精神のバランスを崩しかけている、もっと気分転換を図れ」とジョージに忠告するが、ジョージには、何より大切な音楽と距離を置くのは困難だ。
が、気分転換に酒場のショーを見に出かけたジョージは歌手のネッタ(リンダ・ダーネル)に心奪われ、即興で一曲書きあげ彼女にプレゼント。彼に興味はないのだが彼の曲欲しさに色目を使うネッタにジョージは振りまわされ(渾身のコンチェルトの作曲も途中だというのに!)、酷く傷つけられる。ストレスのあまり無意識の殺意と共に彷徨う彼は…
ホラー・クラシックというけど、サスペンス。サイコ・スリラーかな。
舞台が世紀の変わり目ロンドンで、キャスト・スタッフもかぶっている「謎の下宿人」の姉妹編的な感じだが、堂々主演のレアードがある程度ダイエットにも成功してちょっとロマンチックな雰囲気まで出してる。
ただ…急なダイエットが体調を悪くしたらしく、これはなんと若死にしたレアード・クリーガーの遺作となっている。まだ30代初めだったというに。惜しい、惜しすぎる!
のっそりと大兵肥満気味ながら、巻き毛にウブでひたむきなまなざし。そこそこ母性本能もくすぐるぢゃないか。ジョージ君、別に全然モテナイわけではなく、ピアノの教え子兼音楽界の重鎮の娘(フェイ・マーロウ)からも慕われているのである。なのに悪い女に当たっちゃったなあ…
これは、心に病を抱えた薄幸の、不運な音楽家の、哀しい話。
ついに完成したコンチェルト発表の日、オケをカーテンのかげからチラリと覗いて顔を伏せるレアードに号泣。
サンダースは最初と最後だけで「謎の下宿人」にくらべるとワキな感じでした。それに、へんにちょっかい出さず、演奏会くらいまってやったほうが結果的には良かったんじゃないか、とか、余計なことも考えちゃったりして(笑)
でもまあノン悪役パートなので嬉しいけど。あいかわらずピシッとダンディで頭よさげです。
突然作曲家を待ちうけてるところなんか「マン・ハント」ばりです(笑)
リンダ・ダーネルはそんなに好きな人じゃないけど色っぽいなあ困ったことに(笑)
フェイ・マーロウだって十分綺麗なんですけどね…
そしてまた、音楽が!バーナード・ハーマンなんですよこれが。
ハーマン節炸裂です。不気味な不協和音、そして甘いおののき。本格クラシックの品格もたっぷり。主役は半分くらいハーマンかもしれん…
バーナード・ハーマン好きは必見、必聴!の一作でもあります。
精神病理学的な説得力はあやしいが、まあ半世紀以上前の映画だし気にしない…。
三枚組ボックスについてはこちらが詳しいデス。
http://www.dvdbeaver.com/film2/dvdreviews33/fox_horror_classics.htm
米盤DVD三枚組ボックス「Fox Horror Classics Collection」収録分で視聴(英語字幕あり)。
ロンドン、1903年。将来を期待されるクラシックの作曲家ジョージ(レアード・クリーガー)は、激しい不協和音を聞くと時々記憶に空白ができ、我にかえると頭痛とともにぼうっと彷徨い歩いている自分に気がつく…ということが増えてきた。ある晩血痕をつけて帰宅した彼は、知らずに犯罪を犯したりしていないかと心配になり、スコットランド・ヤード所属の著名な精神科医ミドルトン(ジョージ・サンダース)に相談に行く。上着の血痕は自分自身のものだけで、ミドルトンは「過度の仕事(作曲)への熱中が精神のバランスを崩しかけている、もっと気分転換を図れ」とジョージに忠告するが、ジョージには、何より大切な音楽と距離を置くのは困難だ。
が、気分転換に酒場のショーを見に出かけたジョージは歌手のネッタ(リンダ・ダーネル)に心奪われ、即興で一曲書きあげ彼女にプレゼント。彼に興味はないのだが彼の曲欲しさに色目を使うネッタにジョージは振りまわされ(渾身のコンチェルトの作曲も途中だというのに!)、酷く傷つけられる。ストレスのあまり無意識の殺意と共に彷徨う彼は…
ホラー・クラシックというけど、サスペンス。サイコ・スリラーかな。
舞台が世紀の変わり目ロンドンで、キャスト・スタッフもかぶっている「謎の下宿人」の姉妹編的な感じだが、堂々主演のレアードがある程度ダイエットにも成功してちょっとロマンチックな雰囲気まで出してる。
ただ…急なダイエットが体調を悪くしたらしく、これはなんと若死にしたレアード・クリーガーの遺作となっている。まだ30代初めだったというに。惜しい、惜しすぎる!
のっそりと大兵肥満気味ながら、巻き毛にウブでひたむきなまなざし。そこそこ母性本能もくすぐるぢゃないか。ジョージ君、別に全然モテナイわけではなく、ピアノの教え子兼音楽界の重鎮の娘(フェイ・マーロウ)からも慕われているのである。なのに悪い女に当たっちゃったなあ…
これは、心に病を抱えた薄幸の、不運な音楽家の、哀しい話。
ついに完成したコンチェルト発表の日、オケをカーテンのかげからチラリと覗いて顔を伏せるレアードに号泣。
サンダースは最初と最後だけで「謎の下宿人」にくらべるとワキな感じでした。それに、へんにちょっかい出さず、演奏会くらいまってやったほうが結果的には良かったんじゃないか、とか、余計なことも考えちゃったりして(笑)
でもまあノン悪役パートなので嬉しいけど。あいかわらずピシッとダンディで頭よさげです。
突然作曲家を待ちうけてるところなんか「マン・ハント」ばりです(笑)
リンダ・ダーネルはそんなに好きな人じゃないけど色っぽいなあ困ったことに(笑)
フェイ・マーロウだって十分綺麗なんですけどね…
そしてまた、音楽が!バーナード・ハーマンなんですよこれが。
ハーマン節炸裂です。不気味な不協和音、そして甘いおののき。本格クラシックの品格もたっぷり。主役は半分くらいハーマンかもしれん…
バーナード・ハーマン好きは必見、必聴!の一作でもあります。
精神病理学的な説得力はあやしいが、まあ半世紀以上前の映画だし気にしない…。
三枚組ボックスについてはこちらが詳しいデス。
http://www.dvdbeaver.com/film2/dvdreviews33/fox_horror_classics.htm