1939年、マイケル・カーティス監督作品。カラー。
日本未公開だが「エロール・フリン シグネチャー・コレクション」に入っていた。大昔TVで見たはずなのだが、なんで白黒だと思い込んでいたのだろう…

原題が“THE PRIVATE LIVES OF ELIZABETH AND ESSEX”。
無敵艦隊も退け日の出の勢いの英国・エリザベス一世(ベティ・デイヴィス)と寵臣エセックス伯(フリン)を描いた歴史絵巻…というより王権と恋愛、がテーマの人間ドラマ。まだ若いデイヴィスがブキミな老けメイクで熱演する。

老いを意識する女王と若く美しいエセックスは年の差を超えて相愛であるが、それぞれに強い矜持と信念をもつ者どうし。国のために、と時に女王は彼に特別厳しい扱いをするし、冒険心が強くプライドの高い武人のエセックスは簡単に政敵の挑発にのって戦いに出、政敵の妨害にあって反逆へと追い込まれる。だが、最終的に二人を引きさくのは、結局二人自身の王権へのこだわりだった。自身も王としてエリザベスと対等の立場で国を率いたいという思いを押さえられなくなったエセックスと、彼を愛しつつも、既存の王権を揺るがすなど(英国のために)死んでも許せないと思うエリザベスの軌跡は幸福へなど向かわない。
エセックスは限りなく魅力的だが、王=為政者としての資質には欠けるのである。

デイヴィス、熱演だしうまいよねえ。しかし!
私的には、なんてったって、エロール・フリン!なのだった(笑)
ダブレットやタイツを着せて右に出るもののないコスチューム俳優フリン。うすっぺらな二枚目とデイヴィスは思っていたらしいが(撮影中の二人の関係はサイアクだったらしい)、うすっぺらっぽさまで含めてこれは素晴らしいハマリ役なのである。
すらりとした長身にはスポーツマン的な軽快なたくましさが宿り、甘いマスクと屈託のない明るさが、中身が多少どうでも(いやむしろ、バカな子ほど可愛いのだ)、なんだか見てるだけでドーパミンだかエンドルフィンだかが分泌される気がする、という妙な説得力みなぎるアイドルエセックス伯なのであった(私だけか?…いや、女性ファンだけか?)。
いやー、名優だかなんだか知らんがやっぱりオリヴィエよりフリンですよ、タイツ履かせたら(爆)

オリヴィア・デ・ハヴィランドはエセックスに片思いの侍女役で小さい役。それよりびっくりしたのは侍女の一人がナネット・ファブレイだったこと…
その他ワキにはおなじみのワーナーの性格俳優の面々(ドナルド・クリスプ、アラン・ヘイルなどなど)がズラリ並んで手堅くかつ豪華絢爛なデキ。そして、音楽のE.W.コーンゴールドがまたここでも品格あふれるイイ仕事してます。

いやー、こういう見方をしてるとちゃんとした「評価」ができないなあ。
そんなわけであまりフローラ・ロブソンとの「見比べ」にならなかったけど、…楽しかったです。
やっぱフリンはイイ…(*^^*)…中世衣装のフリンの絵が描きたい気が、ちょっとしてきました。

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