1960年、ジョン・キラーミン監督作品。モノクロ。
KEEPのワンコイン英国クラシック映画DVDのうち、いまだにこれ1点だけ、タップダンススタジオの近所の某店に売れ残っていたので、これは運命か…と買ってみました。
先日の「生きていた男」で、リチャード・トッド、ちょっといいなーとか思ったもんですから…(爆)

うだつのあがらない中年セールスマンのジョニー(トッド)は、仕事のために無理して買ったばかりの車を盗まれて愕然とする。ローンもたっぷり残ってるのに、保険もケチって掛けていなかったのだ。車を失った途端に仕事もうまくいかなくなる。若いチンピラたちを集めて窃盗団を組織している自動車修理工場経営者のメドウズ(ピーター・セラーズ)が犯人だが、確たる証拠はなかなか掴めない。車を失ったために職も家族も失いかけたジョニーは、やけになってメドウズのところに殴りこむ…

英国映画の割に、ちっともアタマを使わない展開なのが残念。のちに「タワーリング・インフェルノ」など超大作までこなしたギラーミンが、珍しく脚本まで自分で手掛けてる、意欲作なのかも?、と期待したのだが。雇い主に見放され、家族にまで見放され、苦悩しまくる主人公の「男の意地」が見どころということなのかもしれないが…。しかし、どうみても弱々しい主人公が青筋をたてて悩んで悩んでついに殴りこみ、待ちかまえていた凶暴な悪役と、殴りあったら意外にいい勝負をするのは何なんだろう…

メドウズのほうも、むしろもっと堂々としていたらシラを切りきれたんじゃないかと思うのだが、「単純にキレやすい馬鹿な悪党」だったようである。ジャケットにはピーセラが珍しくも悪役を!というのが売り文句としてやけに強調されていた。だが、喜劇役者には二通りあると思う。弱々しくてお人良しで、他人に振りまわされる姿で笑わせるタイプと、天然で傍若無人、他人を振りまわし迷惑かけて笑わせるタイプと。クルーゾー警部が当たり役なピーセラは後者だから、悪役を演じてもあまり違和感なくて面白くないわー。
まあ力演は力演みたいだが、全く予想通りに、「なんちゅーか凄い感じ悪い奴」というだけであった。(だから、あんまり気が進まなくて今まで手出してなかったんだよね)

肝心のトッドは役柄のせいもあって、クールでカッコよかった「生きていた男」とは一変して、たいへん情けなくも老けこんで見えた。冒頭は変な眼鏡かけてて、ヘラヘラ喋って、別人かと思った。鬱屈した横顔はまあまあ良いが、…役者だなあ…
もっと他の映画見れないかなー…という思いばかりが膨らんで終わった。でも、そもそもあまりたくさんビデオ出てないですよねこの人。

とりあえず図書館に(ケチ)、「舞台恐怖症」VHSがあったので、予約をしてみる。
ジャンル的には戦争モノの「暁の出撃」なんかがよさそうな気がするんだけど…
「ヴァージン・クイーン」「ロビンフッド」などのコスチュームものも気を惹かれるなあ。
そういや「聖処女ジャンヌ・ダーク」にも出ていた筈だが、これは奇矯な王太子シャルル役のウィドマーク殿下にばかり気を取られていたので、トッド氏全然印象に残っていないよ(笑)

そんなんなんで、一気に見たのは見たけれど(短いし)、まああんまり人様にオススメはいたしません。(爆)

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