1971年、メル・スチュアート監督作品。

ロアルド・ダール原作童話「チョコレート工場のひみつ」の映画化(日本では劇場未公開)。数年前にできたティム・バートン監督&ジョニー・デップ主演のものが有名だが、この旧版は、ウォンカ氏がジーン・ワイルダー!てんで、スカパーでやったものを録画視聴。

世界一のチョコレート工場の持ち主ウォンカ氏(ワイルダー)は、チョコに仕込んだ招待券を手に入れた子ども5人を、秘密工場へと招待する。とても貧しいが優しい少年チャーリー(ピーター・オストラム)も招待され、ワクワクしながら祖父(ジャック・アルバートソン)と出かけて行く。工場内では不思議な小人ウンパルンパたちが忙しく立ち働き、魔法のように奇妙な仕掛けや新商品で満ちていた。我がまま身勝手な他の4人は、各自の愚行の報いを受けては見学ツアー中次々と脱落していき、最後に残ったのはチャーリーだけだったが…


うーむ、やっぱり。
ジーン・ワイルダー最高。
いとも優しげだけどてんで冷酷でほんのり狂気をにじませ、明るいようで哀しみの翳が背後にさしてる。新作は飛行機の中で断片的に見たあと、TVの吹替え版で抜けた所を埋めたりしたのでちゃんと評価する資格はほんとはないのだが、ジョニー・デップの神経症的な「頑張ってる感」に比べて、なんと自然にしっくりした不思議紳士なんだーーー!
夢のような工場を案内しつつ「夢の世界ほどすばらしい世界はない」としっとり歌って、でもそこに、どこかしら不幸や歪みや淋しさを、ほんのちょっぴりだけど確実に感じさせるのは、あの、どでかくて妙に色の淡い青い目が効いているのだろうか。

何にしろ、ウォンカさん、救われるのを待っていたんだとラストでよくわかる(しがみつくようにチャーリーを抱きしめるウォンカ!)。狂騒的なコメディ演技も勿論悪くないが、こういう奥深さもあってあなどれないんだよね、ワイルダー。

CG以前の時代なので、新作の派手派手ゴージャスな映像にくらべるとちんまりと手作り感が強いけど、だがそれがいい!サイケ時代の残り香もあるし、ウンパルンパだって一人ずつちゃんと違うし(なんか、サンダーバードの人形のようだった。等身とかのせいか(爆))、ミュージカル風なのはどっちでもいいけれど、ウンパルンパの曲はこちらの方が素朴でいいなあ、やたら耳に残る。

新作が、最後にウォンカ氏の親子関係を創作して追加したのは、メイキングとか見ると、原作では「なぜ子供たちを招待したか、理由はわかるが動機が不明」だから、らしい。
この71年版も、最後にちょっと追加された原作にないひとひねりは、この動機を明らかにさせるものだ。個人的には、こちらの方がすっきりして童話らしく、しかも空を飛ぶ素敵シーンを組みこめたという点で、いい感じだと思う。71年版には、原作者ダール自身が脚本に加わっていたけど不満が残って作品は見ようとしなかったらしい(ありがち)が、ラストについてはどうだったんだろう。

てなことでワイルダーぶんだけ、意外と熱心に見てしまいました。

ただ、Foxmoviesって、なんでこんな画質悪いんだろ。それにTVサイズに端切ってないか?
「コーマ」放映時にも思ったけどね…


…さて、そろそろほとぼりさめたかな~<スパム

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