好敵手(1962年)2008年4月14日 映画 コメント (2)

米伊合作のガイ・ハミルトン監督作品。主演は洒脱な英国将校をやらせればピカ一のデヴィッド・ニーヴンと、イタリアの喜劇役者アルベルト・ソルディ。
女性など一人も出ない、アフリカ戦線の片隅(笑)を舞台にした戦争コメディです。昨日発掘した大昔のTV録画四本入りテープの一本目がこの「好敵手」だった。画面は変色し、一時間半枠(実質71分)に合わせてカットしまくりなので時々話が飛ぶ。
…のだが、見だすとついつい一気に見てしまった。

…アビシニア、1941年。
リチャードソン少佐(ニーヴン)は、イタリア軍の砦を探して偵察飛行中、飛行機が事故ってパイロットと共に捕虜になる。とはいえこの地のイタリア軍部隊は装備も食糧も払底状態。「まさにコ×キ部隊だ」と少佐らは言う…今だとピー!が入るだろうが(苦笑)
一方イタリア軍のNo.2ブラジ大尉(ソルディ)は情報を得るべく少佐の尋問を始めるが、彼は相当なおっちょこちょい。のらりくらりとかわす少佐にカリカリして「くそー、エガタバに着いたら見てろよ!」「ほぅ、目的地はエガタバか」(…ガーン…!)大尉、自分の方がウッカリ情報漏らしちゃったり。
果ては上司にそれがバレそうになって、気の毒に思った少佐にかばってもらう始末(「なぜ我が軍の目的地を知っとるんだ?」「…英軍の情報網は世界一ですからな」)。武士の情け、というやつですか。
少佐もそうガチガチの軍人ではなく、むしろさばけたお人柄なんですよ。

数日後、接近遭遇した英軍の小部隊とのこぜりあいで伊軍の指揮官は戦死し、この頼りないブラジ大尉が部隊を率いることに。突如降りかかってきた大きな責任にちょっとおじける大尉の表情がなんとも言えません(^^;)
夜、大尉は少佐にワザとらしい笑顔で言う。「捕虜には、脱走する権利もあるんだよな」
食糧も人数も余裕ないのにアンタらを連れ歩くのはしんどい。見て見ぬフリをするから、脱走して自軍に帰りついたら「あの部隊はボロボロの敗残兵で追う価値もない」とこきおろしておいてくれ、という算段。魚心あれば水心、少佐たちは早速脱走し、隊に戻ると約束通り大尉の部隊をこきおろすものの、エガダバに向かうと聞いた上官は「エガダバで部隊を再編成する気かもしれん。念のためお前行って制圧してこい」と少佐に命令。「あ、いや、それは…」と少佐は渋るが上官命令には逆らえる筈もない。

さて、漸くエガダバに辿り着いたブラジ大尉は、少佐と英軍部隊が待ち受けているのを見て「卑怯者!」と怒り狂う。兵数も段違いだしと部下たちに宥められてどうにか降伏の交渉を始めるが、「せめて“名誉ある降伏”の儀式はやってくれ」と要求したのに対して少佐が「何だソレ?」と応じた為またまた激怒。多少は負い目を感じている少佐の隙をついて砦の裏手から逃亡します。少佐もそれでまた意地になって山の中森の奥へとイタリア兵を追ってゆき…
現地民もからんだどたばたの末、英軍伊軍は一時は共同戦線すら張るハメになり?

二人の意地の張り合いと、それでも近づいてゆく心の揺れが、トボけたタッチの音楽に乗ってコミカルに描かれます。またこの音楽が意外やニーノ・ロータ(笑)

[さて、ここよりネタバレ…]

しかし、道なき道を踏み分けて、仲良く「脱出」した彼らを、無事道路にまで出た所で「現実」が引き裂きます。「やった!ちゃんとした道に出た。よーし、お前ら捕虜だぞ、ついてこい」とご機嫌の少佐。数では英国兵の方がずっと多いので。ところが、ちぇ、とソッポを向いた大尉は道端の標識を見つけ「アジス・アベバの近く…なら、ここはイタリア軍占領地区だ!」と今度はイタリア兵がお祭り騒ぎ。ショックを受けた少佐はつい「エガダバでお前らを殺しておけばよかった」と口走ります。
大尉は怒りに顔色を変えつつも、さっさとイタリア兵を率いて去ってゆく。
ところがところが!少佐たちがトボトボ辿るその道の逆方向から、英国軍のトラックが何台もやって来る。驚いた事に、つい先日、アジスアベバは陥落し、英軍の占領地となったという…後味の悪さを噛みしめながら、大尉たちの去った彼方を見つめる少佐。

自軍と再び合流した少佐と部下たちは、軍用駅でブラジ大尉たちを見かける。彼らは捕虜として列車でどこかへ運ばれる途中なのだ。
虚ろな瞳の大尉から目を離せない少佐は、意を決し、自分の部下たちに命令を下す。
「左向け左!…捧げ銃(つつ)!」そして、びしりと本気の敬礼を大尉に向ける少佐。
大尉はびっくり顔、そして満面の笑顔になると、走り出す列車の中から、チャオ!と陽気に手を振り返す。少佐も敬礼を終えると、今度は笑顔で帽子を振り返すのだった。

ニーヴン狙いで録った作品ですが、改めて見るとアルベルト・ソルディがなかなか!
小心でおっちょこちょいでお調子者、けれどめちゃくちゃ明るくて人懐っこい。どうにも戦場にはそぐわない。が、これまで下に見ていたけれどアイツの方がずっと人間的だったんじゃないか――と終盤にはニーヴンに苦くかみしめさせる(そして観客にも!)存在感が、映画が進むにつれてじわっと効いてきます。
最後も、敬礼に敬礼を返すのではなく「チャオ!」なのがポイント☆

いや、もちろんニーヴンも良いんですけどね(^^;)
ヒートアップしちゃう両指揮官の部下たちも、それぞれに肩の力の抜けた対応でよろしい。マイケル・ワイルディング、ハリー・アンドリュース、ロナルド・フレイザー(「飛べ!フェニックス」でも英軍軍曹だったなあ)など、いかにもな英国的メンツが勢ぞろいで脇を固めてる。
ちなみに原題は“The Best of Enemies ”。

人間から人間らしさをそぎとってゆく戦争。だけど、敵も味方も、本当は人間同士の筈なんだ、と、コミカルな中にヒューマンなテーマを隠した、小品だけど佳作です。
…たぶん。

…だって、100分強が70分になってしまっているんですもん(涙)

コメント

nophoto
オンリー・ザ・ロンリー
2008年4月16日15:41

この後へ究極のエンタテインメントの「007」に続くガイ・ハミルトン(だよね?)のいうなれば出世作。それぞれのお国を代表して○○人気質を。戦う中にも友情ありき。1962年頃見まくっていましたよ。ただ何かを受賞したのはソルデイのイタリアのまさに「イタリア式離婚狂想曲」。違ってたらゴメン。チョンボかも知れんがえーい、送っちめぇー。(これって今は知らんけどVHSすらなし)

ボースン
ボースン
2008年4月16日21:22

そのハミルトンですねー。個人的には007はあまり面白いと思わないんですが(笑)コネリーよりロジャー・ムーアの「私を愛したスパイ」のバカバカしさが好きです。でも実は「カジノロワイヤル」のニーヴン=ボンドが一番好き。オソマツ。

ソルディは「好敵手」以外は見てないんですよね〜。でも「好敵手」のデータ調べていたら、この映画でゴールデングローブ賞にノミネートされてたそうですこの人。でも受賞はしてないから、「離婚…」こそが代表作なのかな?
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